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デジタル時代でも電話での対応が一番 [思うこと]

▼ひと月ほど前、新しいパソコンを買った。
 それまで使っていたパソコンの動きが遅く、いつもイライラさせられていたのだが、ひと月前に動きが固まったまま電気が消え、いくらスイッチを入れても立ち上がらなくなったのである。バックアップを取っていなかったから、それまで書き溜めた文章や撮り溜めた写真類が、一瞬にしてすべて失われたかと蒼くなった。メーカーの相談窓口に電話し、電気のコードを差し込み口から抜いたり差したりを幾度かやってみたが、息を吹き返す様子はない。専門の業者に依頼すればデータの復旧ができる場合もあるが、軽度の障害で6万円台、重度の障害の場合は15~16万円の費用が掛かるという。
 しかしありがたいことに、やがて小さな指示ランプが点灯し、それから画面全体が明るくなり、事なきを得た。
 バックアップのためにハードディスクやSSDを外付けすることも考えられたが、この際パソコンを新しくしようと思った。パソコン障害の再発に備えてバックアップを取ることも良いだろうが、再発しないパソコンに替えることがより根本的な対応になる。バックアップは新しいパソコンの様子を見ながら考えればよい。データの復旧にかかる費用を聞いたことが、パソコンを買い替える気持ちの後押しとなった。

▼新しいパソコンは、OSはWindows11、CPUはCore i7、メモリは16GB、内臓ストレージはSSD256GB、のノート型である。CPUやメモリのレベルが以前に比べて格段に上がっているのに、内臓ストレージの容量が半減しているのは、以前はハードディスク、今回のものはSSDで、SSDが高価だということがその理由なのだろう。
 さっそくパソコンの初期設定にかかろうとしたが、今のパソコンにはマニュアルらしいマニュアルが付いていない。50ページほどの小冊子が付いていて、「セットアップ」の方法を説明しているが、重点は「インターネットで調べる」ことに置かれている。それで問題が片付かない場合は、「サポート窓口」に問い合わせたり「訪問サポート」を依頼すればよいという仕組みである。
 分厚いマニュアルを添付してもほとんど読まれず、読んだとしても正しく理解されない場合が少なくないことを考えれば、それは合理的な方針だと言えるかもしれない。しかし筆者の場合、まずマウスを使えるようにするのに一苦労させられることになった。
 筆者の新しいパソコンにはBluetoothのマウスが付いていて、それを使うにはBluetooth接続設定を行う必要があると小冊子には書かれていた。Bluetooth接続設定の仕方はネット上のマニュアルをご覧くださいとのことだが、そのためには初期設定を終わらせ、ネットに繋がらなければならない。古いパソコンのマウスを使うことをその時は思いつかなかったので、「サポート窓口」に電話をした。担当者は、マウスの代わりに指で矢印を動かす方法で接続設定の仕方を指示し、マウスは無事に動き始めた。

▼初期設定を終えたあと、古いパソコンからデータを移す作業に取り掛かったが、これもスムーズには進まなかった。新旧パソコンをLANケーブルで結び、引っ越しソフトのボタンをクリックすれば出来上がりと簡単に考えていたのだが、引っ越しソフトのことでメーカーの「サポート窓口」に問い合わせると、基本OSが異なる場合(旧パソコンはWindows10)は、“手作業”でやる方が良いという。そこでUSBメモリを買ってきて、古いパソコン内の「ドキュメント」、「ピクチャー」、Microsoft Edgeの「お気に入り」、Outlookの「連絡先」をコピーし、それを新パソコンに再コピーするという方法で、引っ越しを行うことにした。
 「ドキュメント」と「ピクチャー」については、割合簡単にコピーして移すことができた。「お気に入り」のコピーも「サポート窓口」でやり方を教わり、なんとか解決した。しかしOutlookの「連絡先」は、同じやり方ではコピーできない。メーカーの「サポート窓口」では、「Windowsに関することはメーカーでお答えするが、Office製品、つまりOutlookやWordやExcelに関することはマイクロソフトに聞いてほしい」と言う。そういう仕切りになっているらしい。
 そこでマイクロソフトに電話すると、有料登録をするかネット上のQ&Aを見るようにという返事だった。マイクロソフトはつい最近まで、パソコン購入から3か月間は無料で電話の問い合わせに回答していたのにと憤慨したが、どうしようもない。結局、プロバイダーが行っている有料サポート窓口に連絡し、なんとか「連絡先」のコピーを終えた。

 新しいパソコンを古いパソコンと同じように使うためには、データの引っ越しだけでは済まない。古いパソコンに自分で入れていたソフト(アプリ)は、自分で新たに入れ直さなければならないし、その分のデータの移動も別途やらなければならない。筆者はホーム・ページ・ビルダーのソフトをあらためて購入してデータも移し、「筆ぐるめ」の住所録や年賀状作成ソフトを入れ直し、ウイルス対策についてセキュリティ会社と契約し、ようやく一息ついた。初期設定を始めてから10日ほど経っていた。
 (それぞれのデータの移行は、各ソフト会社に電話して指示を受けることで、ようやく達成することができた。IT時代になって各企業は顧客との電話対応を減らし、ネット上のQ&Aやチャットで代替させたいと考えているようだが、筆者の場合、それらが役に立ったためしがない。職員が電話で丁寧に回答してくれるのが一番のサービスであることは、これからも変わらないのであり、企業はその予算を削るべきではないと強く思う。)

 パソコンという商品を購入するのは、他の電化製品の購入とは少しわけが違うようだ。取り扱いの専門的知識を持たない者は、これを自分の道具として使えるようにするために、相当な忍耐の時間を強いられる。他のパソコン購入者も同じように苦労しているのだろうか? それとも初期設定やデータの引っ越しを専門サービス業者に委託することで、苦労なく新しいパソコンとの新生活を始めているのだろうか?
 筆者は二十年ほど前にデスクトップのパソコンを購入して以来、今回でおそらく7台目の買い物である。以前のスタート時の初期設定やデータの引っ越しは、もう少し簡単だったような気がするのだが、記録を残していないので確かなことは分からない。

(この稿終わり)

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