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能登・金沢の旅 [旅行記]

▼先週末、能登に行った。一年に一度、仲間たちといっしょに旅をする今年の旅行先である。
 「のと里山空港」は、緑の木々で覆われた山の中だった。羽田からここまで約1時間、空港から輪島の街までバスで20分である。東京から陸路を来れば半日以上かかる辺鄙な場所だが、新しい交通手段の出現は、地図をすっかり書き換えてしまう。
 バスは「輪島駅」に着いた。以前は鉄道駅だったのだが、2001年に廃線となり、今は駅舎は「道の駅」となり、「観光案内センター」などが入っている。集合時間まで時間があったので、輪島の街を歩いてみた。
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 地方都市では、シャッターを閉じた商店街や、駐車場になった商店跡地を見ることが、いまでは普通である。しかしこの町では、「輪島駅」前で閉店したホテルを見かけた程度であり、寂れた感じのする場所は見かけなかった。黒色で光沢のある瓦屋根の民家や商店が多く、電線の地中化が進んでいることもあり、街並みはしっとりと落ち着いて見えた。
 昼飯は寿司屋で、「のどぐろ」の握りを注文した。「のどぐろ」の身を軽く火にあぶって握ったもので、1カン500円だったが、脂が乗っていてさすがに美味かった。
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 2時に全員11人が集合し、タクシー会社のマイクロバスに乗り、まずキリコ会館に行った。キリコという音からガラス細工を連想し、あまり魅力を感じなかったのだが、運転手が勧める言葉に素直に従って、立ち寄ったのである。キリコとは、この地方のお祭りで神輿のお供として担がれ、練り歩く、直方体の行燈のようなものである。行燈の四面には文字や絵が描かれ、「ねぶた」の武者絵を連想するが、「ねぶた」の絵は山車に乗せて引っ張り、キリコは神輿と同様に人間がかつぐ。大きなものではひとつを100人で担ぐこともあるという。  
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 有名な白米千枚田は、稲刈りが終わっていた。丘の斜面につくった小さな不定形の水田が、海に向かって続いている。いまは土地の農家だけでなく、「賛助会員」のような制度をつくって維持しているらしい。正確には1004枚なのだと、運転手は言った。
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 上時国家(かみときくにけ)は、平清盛の義弟が平家の滅亡後、許されてこの地に流され、子孫が周辺の村々を大庄屋として束ねてきた、その館である。入母屋茅葺の巨大な民家で、建てられたのは180年前・天保時代だという。

 日が暮れてきて、最後に伝統的な手法で塩を作っている小屋を覗いた。砂浜に海水を撒いて少しずつ濃縮し、それを煮詰める方法をとる小屋は、道に沿っていくつかあったが、われわれが覗いたのは、垂らした「すだれ」の上から海水をかけて濃縮し、それを煮詰めて塩にする手法をとっている、という説明だった。

 翌日は輪島漆芸美術館を見学し、朝市を見、皆でいっしょに昼食を取って別れた。

▼仲間はその後、和倉温泉や片山津温泉に泊まる者や、白川郷に出て泊まる者などいろいろだったが、筆者は特別なあてもなく、金沢に泊まることにしていた。輪島からバスに2時間以上揺られ、金沢駅に着くと、駅前は観光客でごった返していた。
 筆者は、金沢に来るのが3度目のせいか、街のおおよその見当はついていたし、特に訪れたい所もなかった。時間を考え、バスで「ひがし」の茶屋街を見に行き、早めにホテルに入った。
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 翌日は、金沢21世紀美術館を見に行った。芝生の中に構えることなく、ガラスと白色パネルで造られた建物があり、敷地のあちこちに置かれた「現代アート」の作品は、子どもたちの手ごろな遊び道具となっていた。現代アートの目指すひとつの方向として、人がそこに「参加」することによって完成する作品、というような言葉をよく耳にするが、それは例えばこういうようなものなのだろうか、と思った。
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 伝統的な絵画や彫刻は、あくまでも完成形であり、ひとびとはそれを「観賞」することが求められる。それとは違う「アート」と人間の関係を、素直に示し受け容れる場として、21世紀美術館の建築と展示は示唆に富んでいた。「まちに開かれた公園のような美術館」をコンセプトにした、妹尾和世+西島立衛(SAANA)の作品だという。
 城や武家屋敷や伝統的な家屋群が特徴づける古風な金沢の街に、超現代的な建築は意外にマッチする。21世紀美術館がそうであるし、新しい金沢駅の建物もそうであろう。
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【金沢駅】
 犀川を見に行った。曇り空がようやく晴れ、秋の陽に郊外ののどかな風景が心地よかった。
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 武家屋敷の雰囲気を残す長町を歩き、近江町市場を覗き、兼六園を回り、小松空港から帰京した。
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